肌の装飾にどの題材が最も注文を受けるかタトゥーマスターに聞くと、おそらく – オオカミタトゥーとはっきり答えるだろう。
この動物は、古代より人に対して恐れだけでなく、尊敬そして称賛でさえも呼び起こして魅了するので、それは驚くべきことではない。このすべての要素が、タトゥーアートの中でオオカミを最も人気のあるものにした。
神話、民間伝承、おとぎ話では、オオカミは勇気と勝利と共に激しさ、裏切り、残酷、邪悪を具体化する。それ以外に、特定の状況下では、オオカミは、弱いものにとって強力な守護者として示されることもある。ユーラシアの神話の中で共通の題材の一つは、雌オオカミによって育てられた民族の先祖をテーマとしたものである。
オオカミの先祖について多くの物語が挙げられる。ロムルスとレムスの双子の兄弟を救い育てたカピトリヌスのオオカミのローマ神話。ペルシャの王キュロスを育てた雌オオカミについての古代イランの神話。ステップ地域チュルク系民族は、それを祖先のトーテムであると考え、オオカミの頭の旗を作った。英雄の先祖、部族のリーダーは、オオカミまたは「オオカミの頭(体)」を持つものと呼ばれた。
オオカミは、戦士の紋章や戦争の神の象徴となり得る。オオカミは、ローマのマルス崇拝、スカンジナビアのオーディン崇拝の中で崇拝された。ヒッタイト、イラン、ギリシャ、ドイツと他のインド・ヨーロッパの伝統において、分隊の統一の考えを思い出させるために、よくオオカミの毛皮を身に着けた。
オオカミは、よく黄泉の世界と関連付けられ、そこの魂の先導を表す。
エジプトの神話では、ウプウアウトは元々戦争の神だったが、後に死者の霊魂のためにドゥアトへの道を開いたものとなった。彼の通称の一つは、「指導者」そし彼が関連した「オシリスの第一戦士」だった。
ギリシャローマの伝統のオオカミ(時には地下に住む頭が3つあるもの)は、マルス(ギリシャのアレス)にささげられ、尊厳と勝利を示す。
マルスの子で、伝説のローマの建国者であるロムルスとレムスは、雌オオカミに授乳された。物語によると、マルス の神聖な動物である–キツツキ、馬、雄牛とオオカミ– は、居住が準備されるべき場所へ若い双子を導いた。重要なローマの祭であるルペルカリアは、健康と豊饒の祭でまたオオカミ崇拝とも繋げられた。アポロの通称の1つは、「オオカミ」を意味するギリシャの「リコス」に由来する「リュキアン」だった。
スカンジナビアの神話では、主神のオーディンには、ゲリとフレキ(「貪欲なもの」)という2匹の狼がおり、オーディン自身は食べ物を必要とせずワインだけを飲むので、自分の食事はこれらの狼にやるという動物の仲間を伴っている。ヴァルハラの西壁にいるまた別の巨大なオオカミは、魔法の鎖で繋がれたフェンリルである。預言によると、フェンリルは飼い主に反抗して、神の父オーディンを殺し、そして世界を破壊するという。
キリスト教では、オオカミは悪、残忍、狡猾と異端、信者を脅す悪魔を意味する。このどう猛な野生動物を手なずける力を持つのは聖者のみで、例えば、象徴がオオカミになったアッシジのフランチェスコである。このオオカミは、グッビオの人々を恐怖に陥れた。市民は追跡していたが、フランチェスコがこの生物に出会ったとき、「オオカミの兄弟」と呼び、真の友人として保護した。
スラブ民間伝承では、オオカミは地下のシンボルと関連付けられ、死者はその姿を借りるか、あるいはオオカミがそのものを別の王国に連れて行くことができ、または多数のおとぎ話の中で宝物を見つけることを助けることができる。
中世の紋章では、オオカミは自由、警戒、勇気の印として家の紋章で広く利用され、肯定的な意味で言及される。エドワード4世(イングランド王、1442 – 83年)は、バッジの一つに白いオオカミを使用した。
オオカミは群れの一部で、団結と調和の原則を伝える。同時に、この動物は孤独、個性と自立と関連付けられる。それは他とは違って、ギリギリの状態、克服の瞬間を具体化する。ヒッタイト人は、驚くべき資質または偉大な功績で知られる人について、このように言ったものだ。「彼はオオカミになった。」 古代インドでは、そのアナログ特性は、さらに簡潔で「彼はオオカミである。」
オオカミは、タトゥー芸術の世界で最も明るく、複雑な題材の一つである。現代のマスターは、複数のタイプのオオカミタトゥーのデザインを提供できる
それらのオオカミタトゥーの一つを選ぶ際、どのタトゥーも身につけるものの本質を表現することを忘れてはいけない。従ってお守りとしてこの優雅で気高い動物をデザインに選ぶ場合は、人生における変化への準備をしておこう。
タトゥーマスターは、人間の体全体をキャンバスに変えて、テーマや構図を試みる。しかしオオカミタトゥーに対するアプローチは未だにかなり保守的なままである。それらは、背骨部分に入れる大柄なデザインで表す傾向がある。
それらは、首からウエストまたは(小型なものは)肩甲骨までのスペースを占めることが可能である。しかし肩の部分が最も一般的である。この場合、印象の強い大きいイメージにはスペースが足らないだろうが、タトゥーを表現するのが容易であり、彫るプロセスは痛みが少ない。
多くの人々は、胸の他の位置 – を好む。身体の他の部分もまたこのタトゥーで装飾できるが、それはむしろ例外である。